静岡県は1月30日、中央新幹線環境保全連絡会議・生物多様性部会を開き、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事にともなう自然環境や生態系への影響を審議しました。
専門家らは、工事が大井川流式の希少な生態系に壊滅的打撃を与える危険性を指摘し、JR東海に最大限の環境保全措置を求めました。
委員らは、大井川流域には希少な生態系があり、流量減少は深刻な影響を及ぼすと指摘。希少種保護のためには生態系全体の保護が必要だが、環境影響評価ではほとんど触れられていないとして、従来以上の保全措置を求めました。JR側はこれまでの説明を繰り返し、新たな措置は示しませんでした。
専門家から「希少な植物は移植するというが水生生物は移植に適さない。一日でも水がなくなれば死んでしまう。基本的な保全対策があるのか」「南アルプスの生態系がどういうものか理解しようとしているのか。保全措置がとれると本当に考えているのか疑問。壊滅的な影響がある可能性も示してほしい」などの意見も出されました。
板井隆彦部会長(県淡水魚研究会会長)は「事業者は環境影響評価をやってきたというが、大井川という特殊な場所にあわせて出されたかというと疑問。生物多様性の保全の立場と、事業者の立場は相いれないものだと思うが、大井川の希少な自然が大きく壊れる可能性を最小限にしていくことを期待する」と語りました。
会議の冒頭では、25日の会議で県側とJR側が対立したリスク管理の姿勢をめぐり、JR側と県側が反論しあう場面がありました。
事前にリスクを最小限にしていく姿勢を求める県側と、「事前にできることは限られる」とし工事を進めながら対応したいとするJR側の溝は埋まりませんでした。(『しんぶん赤旗』2月2日付より)