2019年9月27日(金)
【ニューヨーク=遠藤誠二】国連総会に合わせて訪米した安倍晋三首相は25日、トランプ米大統領と首脳会談を行い、両国の貿易協定とデジタル貿易協定についての「最終合意」を確認し、共同声明に署名しました。トランプ大統領は「米国の農家、牧場主らにとって巨大な勝利だ」と述べ、米国の利益を優先した内容を歓迎しました。
日米貿易協定そのものは、今回の首脳会談では明らかになっていません。今回の「最終合意」はあくまで、農産品や工業品など一定の分野に限った「初期」の合意であり、両国は今後、関税と非関税障壁も含んだ包括的な交渉を行うとしています。
日米貿易協定の合意は、米国産農産品の関税を環太平洋連携協定(TPP)水準まで大幅に引き下げるとする一方、日本が輸出する自動車・自動車部品への関税撤廃については見送るという、米国側が一方的に有利な内容です。
首脳会談では、日米貿易協定そのものには署名しませんでした。今後、署名を経て、両国内での手続きの完了の30日後に発効するとしています。
焦点となっていた米国産の牛肉の関税は、38・5%から最終的に9%まで削減します。輸入急増時に関税を引き上げる緊急輸入制限(セーフガード)の発動基準を24万2000トンとし、事実上の米国向け低関税枠を設定しました。
一方、日本から輸出する自動車・自動車部品の関税撤廃については、事実上、先送りされました。
日本車への追加関税は、日本側が回避に努めたものの、「協定の誠実な履行がなされている間、両協定および本共同声明の精神に反する行動をとらない」とされただけで、いつでも持ち出される可能性は残りました。
ホワイトハウスは25日、「日本は米国産農産物の輸入で70億ドル規模の市場を開放した」と発表しました。