日本共産党の志位和夫委員長は9月26日、日米首脳会談における「貿易交渉」の合意について次の談話を発表しました。
一、25日、日米首脳会談での貿易交渉に関する合意は、米国トランプ大統領の要求に、日本側が一方的に譲歩するものとなった。トランプ大統領が米国の農業団体代表を首脳会談に同席させ、「米国の農家にとって巨大な勝利」と述べたことに象徴されている。
日本は、牛肉、豚肉などの米国畜産物の関税を大幅に引き下げる一方で、米側の自動車・自動車部品の関税削減は先送りされた。アメリカへの「TPP並み」関税撤廃・削減による、農業、畜産業をはじめ日本の地域経済、国内経済への打撃は、他のTPP諸国の比にならない。しかも、安倍首相は「TPP合意以下」と言うが、畜産物などの低関税枠を別枠で設け、アメリカ産トウモロコシの大量輸入を約束するなど、アメリカを特別扱いする「TPP超え」が明らかになっている。
一、安倍首相の「日米FTA交渉には応じない」という国民への約束にもかかわらず、日米共同声明で「他の貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁、その他の課題について交渉を開始する」としたことは重大である。トランプ大統領は「かなり近い将来、日本とのさらなる包括的な協定をまとめることになる」と述べた。金融、保険、為替をはじめ、米国はあらゆる分野で日本への譲歩をせまる要求を突き付けている。日本の経済主権を脅かす重大な問題であるとともに、ウソと偽りの政治の害悪は深刻である。
一、安倍政権は、内容は参議院選挙が終わるまで秘密にするという許しがたい態度で、日米交渉を行い、首脳が合意したにもかかわらず、詳細な協定内容は明らかにしないという外交は、およそ民主政治とは言えない。しかも、安倍首相は会見で「すべての日本国民にとって利益をもたらす」と言い放った。農畜産業者をはじめ、くらしと経営に危機感をつのらせている人たちの痛みにも苦しみにも思いが及ばない政治は、一日も早く終わらせなければならない。
日本共産党は、今回の「合意」を受けた協定の国会承認を許さず、日米FTA交渉の中止を強く求め、国民とともにたたかう決意を表明する。