日本共産党の小池晃書記局長は9日、参院本会議で代表質問に立ち、消費税10%増税をしたうえ、教育・社会保障でさらなる負担を押し付けようとする安倍政権の姿勢を告発しました。小池氏は、「日々の暮らしに苦しむ国民に、消費税を5%に戻そうというメッセージを送ろう」「いま、上げるべきは消費税ではなく、最低賃金だ」と訴えました。
17年間5%だった消費税が、安倍政権の6年間で10%に引き上げられました。小池氏は、消費税を8%に増税して5年半、家計消費も実質賃金も落ち込んでいる実態を示し、「8%増税が深刻な消費不況を引き起こしたのだから、景気回復のための『万全の対策をとる』というなら、5%に減税するべきだ」と主張。消費税減税と暮らし応援の政策を実行するために、大企業と富裕層に応分の負担を求める税財政の改革を提案しました。
安倍晋三首相は「下振れリスクが顕在化する場合には、躊躇(ちゅうちょ)することなく機動的かつ万全な対策を講じる」というだけで、まともに答えず、法人税改革については「国際競争力への影響を踏まえ、慎重に検討する」と後ろ向きの姿勢を示しました。
小池氏は、日本医師会の横倉義武会長が社会保障財源について「消費税の一本足打法ではなく、新たな税財源についても併せて検討すべきだ」と述べていることを紹介し、「財源は『何でも消費税』から抜け出すときだ」と主張。さらに、安倍政権が謳(うた)う「大学無償化」や「社会保障の充実」のゴマカシを厳しく批判しました。
安倍政権が導入する低所得者世帯の高等教育の修学支援制度と引き換えに、現在、国立大学が行っている授業料免除制度が廃止されようとしています。小池氏は、文科省調査によれば、授業料免除や減額対象の学生の半数以上の2万4000人が支援を受けられなくなるか、支援額が減少することになると指摘。今年度から国立大学の学費値上げが相次いでいることも示し、「いったいどこが『大学無償化』か」とただしました。
さらに、小池氏は、安倍政権が75歳以上の医療費窓口負担を2割へ引き上げようとしていることをあげ、「消費増税の上に医療費負担を増やすような非道なことは撤回すべきだ」と主張。年金も、「マクロ経済スライド」によって基礎年金が3割も目減りさせられるとして、「知恵を出し合って安心できる年金制度をつくるのが、政治の責任ではないのか」とただしました。
授業料支援打ち切り 首相「対応検討急ぐ」
安倍首相は、高等教育の修学支援制度の導入にともなって、支援を打ち切られる学生が生まれることを否定できず、「いかなる対応が可能か、来年の制度施行に間に合うよう、早急に検討する」と答弁しました。
小池氏は「いま、上げるべきは消費税ではなく、最低賃金だ」と述べ、最低賃金の抜本的な引き上げを要求。全国知事会が昨年、全国一律の最低賃金制度の実現を決議し、2年連続で政府に申し入れていることを紹介し、「地域経済を活性化し、一極集中にも歯止めをかける。これこそ本当の成長戦略だ」「最賃引き上げの有効な支援策として、中小企業の社会保険料への公費補てんを検討すべきだ」と強調しました。<2019年10月10日(木)付>