参院外交防衛委員会は28日、日米貿易協定に関する参考人質疑を行い、日本共産党の井上哲士議員が質問に立ち、日米デジタル貿易協定が全体としてフェイスブックはじめSNSなどの運営企業に有利な内容となっている中で、同協定の運営企業に対する免責条項について質問しました。
アジア太平洋資料センターの内田聖子共同代表は、児童ポルノなど日常的な人権侵害に対し、米国では運営企業に「一定の責任を課すべきだ」との議論が起き、国内法の改定論議とともに同協定からの削除要求が「議員から出ている」と指摘。越境データの移転の自由に関しても日本で今後議論の可能性があり、同協定によって政策の選択肢が固定化される懸念を表明しました。
井上氏は再交渉の大きな焦点が食の安全だとして、安倍政権が「国益に反する合意はしない」と繰り返すことへの懸念を質問しました。
鈴木宣弘東京大学教授は、今年5月に牛海綿状脳症(BSE)問題をめぐり米国産輸入牛の月齢条件を撤廃するなど、すでに日本が米国の要求に従っていると述べ、「第2段階の交渉で(要求が)継続的に出てくると懸念している」と表明。井上氏が日本政府による農産物への影響試算について質問したことに対し、鈴木氏は「影響が出ないことを前提に計算していることが(政府試算の)一番の問題だ」と批判しました。