日本共産党の田村智子副委員長が参院予算委員会で、首相主催「桜を見る会」の私物化疑惑を取り上げてから3週間。真相究明を迫る論戦は全野党に広がり、数々の事実、新たな疑惑が浮き彫りになりました。野党の追及と国民世論に押され、招待状の区分番号「60」が記された資料を正式のものだと認めた政府。もはや首相は、国会で真相を明らかにする以外にありません。
私物化は明らか
「『野党追及チーム』の○○です」。野党議員は国会質疑や野党合同ヒアリングでこう切り出し、徹底追及してきました。
招待者に安倍首相や妻の昭恵氏の事実上の推薦「枠」があることが明らかに。約1万5千人の招待者のうち、過半数が首相(約千人)や副総理、官房長官、官房副長官(約千人)、自民党(約6千人)の推薦だったことも分かりました。「功績・功労者を慰労する」という本来の目的を逸脱して、事実上の後援会行事としていた私物化は明白です。
野党は、「桜を見る会」とセットで開かれていた安倍晋三後援会主催の「前夜祭」の収支のあり方を追及。収支報告書に収支の記載はなく、公職選挙法や政治資金規正法に違反する疑いも浮かびあがりました。
最大の疑惑は、「桜を見る会」に反社会的勢力が参加し、マルチ商法企業関係者が招待されていた問題です。
マルチ商法企業「ジャパンライフ」元会長の招待状には、総理推薦「枠」ではないかとされる区分番号「60」が記載されていたことが明らかになりました。社会的に指弾されるべき人物を「桜を見る会」に招き入れたのは安倍首相ではないのか―。真相究明が求められています。
「桜を見る会」 野党結束して追及
虚偽答弁は明白
野党の追及に、政府・与党はまともに答えず、虚偽答弁、資料の廃棄、安倍首相をかばい続けています。
20日の参院本会議で「(招待者の)推薦について意見を言うこともあった」と関与を認めた安倍首相。「桜」疑惑を追及した日本共産党の田村副委員長の質問に対する「取りまとめ等には関与していない」(8日、参院予算委)との答弁は虚偽だったのです。
推薦枠や招待者をめぐる疑惑を追及されるたびに政府は、「1年未満の保存期間文書として遅滞なく招待者名簿を廃棄した」として答弁を拒んでいます。
日本共産党の宮本徹衆院議員が「桜を見る会」の問題を国会でただすための資料を要求した日(5月9日)に、内閣府が招待者名簿を大型シュレッダーにかけていた事実も明らかに。
「国会での追及を逃れるために廃棄したのではないか」との質問に対する内閣府の答えは、シュレッダーが空いていなかったから「連休明けになった」というものでした。
招待者名簿の保存期間を1年未満とするきっかけとなった時期が、「森友・加計疑惑」で公文書管理のあり方が問題になっていた時期と重なることも明らかになりました。公文書管理すら私物化しているのではないかと疑わざるをえません。
首相は真相語れ
首相の進退にかかわる重大疑惑に発展した「桜を見る会」。野党は結束して、首相出席の衆参予算委の開催を要求しています。参院では、参院規則に基づき予算委員会の開催を要求。規則では、3分の1以上の委員から開催を求められた場合、委員長は委員会の開催を義務付けられていますが、政府・与党は応じていません。
真相究明の責任をまったく果たそうとしない政府・与党に対し、野党は28、29日には連続して書記局長・幹事長会談を開き、結束して政府・与党に真相究明を求めてきました。
「ジャパンライフ」元会長宛ての招待状にある区分番号「60」の意味を書いた政府提出の資料を政府が認めない姿勢をとったことに、野党は、「審議の前提を崩すものだ」と主張しました。
野党の追及と国民世論に押されて、政府は29日、区分番号「60」が記載された資料が正式な政府資料であることを認めました。結束を強めた野党の国会共闘で、審議の前提をつくり上げたのです。
安倍首相自身に掛けられた疑惑です。いよいよ自ら国会に出て真相を語るべき時です。語れなければ潔く退陣するしかありません。