安倍晋三内閣は20日、2020年度政府予算案と税制改定大綱を閣議決定しました。10月に10%への消費税率引き上げを強行したあと、初めての予算です。一般会計における消費税収は21兆7190億円となり、最多の税目となりました。軍事費が過去最高額を更新する一方で、社会保障は抑制しました。日本共産党の小池晃書記局長は同日、談話を発表しました。
国の基本的な予算規模を示す一般会計の総額は102兆6580億円と、19年度当初予算を1兆2009億円上回りました。
今回の予算には、安倍政権の三つの悪政が示されています。
第一は、経済への対応です。10月に強行した消費税増税で落ち込んだ景気に対し、国民のふところをあたためる政策が取られていません。「対策」として上げられているのは、ポイント付与をエサにマイナンバーカード取得をすすめる「マイナポイント」(2478億円)です。使える人も店舗も限られる不公正な制度であるうえに、犯罪誘発の恐れもある危険な政策です。
第二に、軍事費は過去最大の5兆3133億円となりました。第2次安倍政権発足以来、8年連続の増額で、6年連続で過去最高を更新しています。
米軍と自衛隊の一体化が進みます。海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」の空母への改修費として31億円を計上。米国からの高額兵器の購入も高水準で続きます。アメリカ政府から武器を購入する「有償軍事援助(FMS)」は4713億円にのぼります。「いずも」に搭載する米国製最新鋭ステルス戦闘機F35Bの取得費として793億円(6機)を盛り込みました。
第三に、暮らし関連の予算は削減・抑制されています。厚生労働省が所管する社会保障予算は、概算要求時に5300億円と見込んでいた自然増を1200億円圧縮しました。
公共事業では、「生産性向上に資する道路ネットワークの整備」の名目で、大都市圏環状道路の整備などに19年度比179億円増となる3319億円を計上しました。
経済産業省は、小型原発などの開発支援に9億円、原発産業の基盤強化として技術開発や人材育成への支援として12億円を計上。内閣官房は、情報収集衛星(スパイ衛星)の10機体制を目指し、5億円増の625億円を盛り込みました。
予算案と同時に閣議決定された税制改定大綱には、5G(次世代通信規格)の整備やベンチャー企業に投資した際の減税措置を盛り込みました。また、大企業の税負担を大幅に引き下げてきた連結納税制度の使い勝手をさらに良くします。
同日、財務省が発表した20年度財政投融資計画は、総額13兆2195億円と3年ぶりに19年度当初計画を上回りました。