沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設をめぐり、政府が埋め立ての工期を当初想定していた5年から10年程度に延びると見込んでいることが23日、分かりました。埋め立て工事後の施設整備などにも3年を見込み、新基地完成まで合計で13年かかることになります。政府が想定する最短の工期でも新基地完成は、30年代以降に大幅にずれ込むことになります。
政府見込み
政府は、埋め立て海域の大浦湾側に広がる軟弱地盤の改良のため工期を延長せざるを得ないと判断。工事の長期化に伴い、3500億円以上としてきた費用もさらに膨れ上がることになります。防衛省は25日にも、土木工学の専門家による軟弱地盤に関する「技術検討会」を開き、工期の見積もりを報告します。
沖縄県は2018年11月に、辺野古新基地の運用まで最短でも13年、最大2兆5500億円の費用がかかると試算していました。政府の今回の見積もりは、県の試算の妥当性を裏付けるものです。
日米両政府の「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」(13年4月)では、新基地建設の工事期間を5年とし、その後の器材・施設調整や飛行場認証などを経て、「22年度又はその後」に普天間基地が「返還可能」としていました。この想定が変更されることになります。
ただ、「10年程度」の工事も、順調に進むかどうかは不透明です。政府は年明け以降、沖縄県に地盤改良工事のための設計変更を申請する予定ですが、新基地建設に断固反対を貫いている玉城デニー知事は許可しない方針です。台風など自然災害による遅れも想定されます。新基地完成まで13年の見積もりがさらに延びれば、米軍普天間基地の「移設」は完全に破綻します。
デニー知事は23日、記者団に対し「それだけ時間も工期もかかる工事はいりません」と話しました。