政権とメディアとの癒着として問題になってきた安倍晋三首相とメディア幹部・記者との会食が、今年は第2次政権で最多(25回)に迫る24回(28日現在)に及んだことが、首相動静から分かりました。とくに11月に「桜を見る会」疑惑が大問題になるなか急増しているのが特徴で、首相がメディア懐柔に会食を利用している姿が浮き彫りになりました。
「桜を見る会」疑惑は、「赤旗」日曜版のスクープと日本共産党の田村智子副委員長の質問(11月8日、参院予算委員会)で大問題になりました。直後は反応が鈍かったメディアも、野党が追及チームをつくるなど結束して追及するなかで、週明けにはワイドショーなどで大きく取り上げられ、翌日からは全国紙なども1面で報じるようになりました。
その最中の11月中旬から首相とメディア幹部との会食が急増。首相がぶらさがり会見で「前夜祭」の収支について釈明した15日には、東京・丸の内のパレスホテル東京の日本料理店「和田倉」で、日枝久フジテレビグループ代表と会食。18日夜には、東京・有楽町の日本料理店「春秋ツギハギ日比谷」で、「読売」東京本社の柴田岳常務取締役論説委員長、田中隆之取締役編集局長と会食しています。
さらに、「桜」疑惑の影響で内閣支持率急落が明らかになった20日には、内閣記者会キャップを集めて、東京・平河町の中国料理店「上海大飯店」で2時間余にわたって会食。「毎日」は参加しませんでした。その後も、「日経」政治部長や各社「総理番」記者たちとの懇談を繰り返す異常さです。
新聞労連の南彰委員長は、内閣記者会キャップによる首相との懇談について「会費6千円『桜を見る会前夜祭』より高い首相懇談会の愚 “共犯者”にされたメディアに未来はあるか」と題して朝日新聞出版のニュース情報サイト「AERAdot.」(12月23日号)に寄稿。「首相への日常的な質問の機会すらなくなるなか、出席して取材したいという気持ちはわかる」としたうえで、「(公式な記者会見)それすらできない状況で、非公式の懇談実施を先行させたことによって、市民からメディアは『共犯者たち』と映った」と論じています。
「桜を見る会」疑惑以降に急増したメディア幹部・記者との会食
11月8日 田村智子議員の質問
11日 野党の「追及チーム」発足
15日 首相がぶらさがり会見で釈明
同日 日枝久フジテレビグループ代表と会食
18日 「読売」「産経」で内閣支持率急落
同日 「読売」東京本社の柴田岳論説委員長と田中隆之編集局長と会食
20日 内閣記者会キャップ(「毎日」のぞく)と会食
22日 「日経」の秋山光人特別顧問が森喜朗元首相らと一緒に会食
12月10日 「日経」の丸谷浩史政治部長らが会食
16日 共同通信の世論調査で内閣支持率が急落し、不支持率と逆転
17日 報道各社の首相番記者と会食