日本共産党の塩川鉄也衆院議員、大門実紀史参院議員は31日、首相出席の衆・参両院予算委員会集中審議でそれぞれ質問に立ち、秋元司被告(自民党離党)の汚職発覚後もカジノ推進に執着する安倍晋三首相を追及、カジノをめぐる利権と癒着の構造にメスを入れました。
規制機関が推進機関に
管理委事務局に事業者
塩川議員 衆院予算委
塩川氏は、カジノ規制の中核を担う行政組織として新設された「カジノ管理委員会」の事務局が、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)推進事業者から職員を受け入れており「カジノ事業者の都合でルールが作られるのではないか」と追及しました。
カジノ管理委員会の並木稔事務局次長は、あずさ、PwCあらた有限責任監査法人在籍者がそのまま管理委員会事務局に勤務していることを認めました。
塩川氏は両監査法人がIRに関する「知見や実績」を売りに「地方自治体によるIR誘致支援業務」を行っていると指摘。武田良太カジノ管理委員会担当相は「日本では誰も経験のないカジノ事業を管理・監督するためにはカジノに関する知見が必要だ」と弁明しました。
塩川氏は「やったことがないならやらなければいい」と述べました。
あずさは長崎県・佐世保市のカジノの実施方針検討作業を受注。PwCあらたは、大阪府・市IR事業者選定委員会のメンバーに入っており、さらにPwCグループは大阪府・市のカジノ誘致のアドバイザリー業務を受託しています。塩川氏は「これでどうして特定事業者、誘致自治体への肩入れが起きないといえるのか」と追及しました。
武田担当相は「監査法人の仕事をつまびらかに調べることは無理だ」と答えました。
塩川氏は、「規制するカジノ管理委員会が推進機関になっている。野党のカジノ廃止法案の審議、可決を求める」とのべました
萩生田文科相が仕組み先導
撤退いえば訴訟リスク
大門議員 参院予算委
大門氏は、海外カジノ企業が自民党などの政治家に資金提供したのは中国企業だけではないとして、米カジノ大手シーザーズの日本アドバイザーが、カジノ議連(国際観光産業振興議員連盟)メンバーにパーティー券購入の形で資金提供していた問題をとりあげました。
大門氏は、萩生田光一文科相が当時、「しんぶん赤旗」の取材に、事実を否定しなかったことについてただしました。
萩生田文科相は、このアドバイザー企業がパーティー券を購入したことを認めましたが「IRの関連企業とは知らなかった」としました。
大門氏が、海外カジノ企業からの資金提供があったか予算委員会に報告するよう求めると、萩生田文科相は「参院が決めれば従う」と答えました。
大門氏は、萩生田氏が昨年8月、大阪市内で開かれたカジノ推進派の集会での講演内容を紹介。初回10年、その後5年ごと更新と法定されているカジノ「区域整備計画」認定期間について「10年たったときに(自治体が)『あんたたち出て行ってくれ』といっても訴訟になる」などと発言した事実を示し、追及しました。
萩生田氏は「事業者が実施協定に違反していないのにもかかわらず自治体が更新しないという判断をすれば自治体に訴訟リスクが生じると述べた」と答えました。
大門氏は「住民の意思、法の趣旨よりも事業者のもうけを優先した発言だ」と批判しました。