日本共産党の小池晃書記局長は29日のNHK「日曜討論」で、新型コロナウイルス対策や追加経済対策、今後の国会審議にどう臨むかなどについて、各党の幹事長(代行)らと討論しました。
新型コロナ対策
小池氏はまず、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策をめぐり、「政府は外出やイベントの自粛を求めてきたが、自粛と補償はセットであるべきだ」と指摘。安倍晋三首相が28日の記者会見でようやく中小業者やフリーランスへの給付に言及したものの、「損失を税金で補償するのは難しい」としたことについて、「飲食店、観光、宿泊、運輸業、文化・芸術団体、ライブハウス、フリーランスの音楽家や俳優などは大変な状況だ。自粛を要請するなら同時に損失補填(ほてん)するという大原則を確立すべきだ。単なる経済対策としてではなく、感染拡大を防止するうえで欠かせない」と強調しました。
自民党の稲田朋美幹事長代行は、打撃を受ける中小企業への融資を拡充していると釈明。立憲民主党の福山哲郎幹事長は「売り上げも所得もなくなっている方に『借金をしろ』というのは酷だ」と批判し、国民民主党の大塚耕平代表代行は「今回の危機は融資では解決しない」と述べ、そろって損失補填・直接支援を求めました。
医療体制の整備をめぐっては、小池氏は「医療機関に協力を要請しながら財政補償がないことが最大の問題だ。ベッド確保に対する財政補填をするべきだ」と主張。院内感染防止のため「マスクを医療機関や介護施設、障害者施設へ最優先で供給することが必要だ」と述べました。
PCR検査の体制についても、「1日8000件の能力がありながら、1300件しか実施されていない。医師が必要だと判断すれば直ちに検査できる体制をすぐにつくるべきだ」と主張。イギリスなどでは、免疫の有無を確認する抗体検査に踏み切っているとし、「わずかな血液で十数分で判定でき、被ばくの危険もない。大規模にやれば感染の広がりをつかめるようになり、対策も変わってくる。日本でも急いで導入すべきだ」と求めました。
国民・大塚氏も、イギリスに遅れないように日本でも抗体検査を取り組むべきだと発言しました。
自民・稲田氏は、検査について「医師が必要だと診断したら速やかにできる体制を整える」と述べたものの、具体策は示しませんでした。
追加経済対策
小池氏は、現在の経済の状況について、「昨年10月の消費税増税で個人消費が冷え込んできたところに、新型コロナが決定的な追い打ちをかけた」と強調。緊急対策として、個人事業主に所得の最大8割・月約30万円まで支給するイギリスの例を挙げ、「収入を絶たれた事業者・個人への直接支援、今すぐ暮らしを支える十分な現金給付が必要だ」と力を込めました。安倍首相が拡充を表明した雇用調整助成金については「それでも賃金の半分程度にしかならない。イギリスのように賃金の8割程度は補償すべきだ」と述べました。
また、「中小企業への無利子・無担保融資はリーマン・ショック時の20兆円を超える規模とし、迅速な手続きにすべきだ。税・社会保険料の減免、家賃や水光熱費など固定費の直接補助、イベントの中止に伴う出演者へのキャンセル料支払いなど、損失や必要経費の補填を緊急に行うべきだ」と主張しました。
さらに、消費税5%への減税が必要だと指摘。「消費税減税はすべて消費に回り、とりわけ低所得者に恩恵がいく。自民党の中からも消費税減税の声が出ている。ぜひ決断するべきだ」と迫りました。
自民・稲田氏は、対策の規模について「リーマン・ショック時は56・8兆円だ。それを大幅に上回る大胆な対策が必要だ」と強調しましたが、消費税減税については「全世代型社会保障改革の大きな財源だ。いったん下げた税率を上げられるのか」と述べ、否定的な姿勢を見せました。
立民・福山氏は「中長期的には消費税のあり方を含め、あらゆる選択肢を考えなければならない」と指摘。国民・大塚氏も状況によっては「家計減税も必要だ」と述べました。
五輪・パラ延期
小池氏は、東京五輪・パラリンピックの延期について「今の感染状況からすればやむを得ない」と指摘。その上で、「来年7月といわれる延期時期の根拠を示すべきだ。安倍自民党総裁の任期は来年9月だ。来年実施を強調する背景に政治的な思惑があるのか否か、国民負担がどれだけ追加されるのかといった問題がある」と述べ、予算委員会の集中審議で説明責任を果たすよう政府に求めました。
今後の国会審議
最後に今後の国会審議について、小池氏は「森友問題、桜を見る会私物化、検察人事への介入も徹底的に議論する」と表明。今回のコロナ危機を通じて、社会保障費の削減を続け、外需頼みの経済をつくってきた政治や社会のあり方を問い直す必要があるとし、「新型コロナの前と後で政治は変わらなければならない。そういう立場で徹底的に議論する」と力を込めました。