告示(29日)が迫る沖縄県議選(6月7日投票)では、同県名護市辺野古の米軍新基地ストップ・米軍普天間基地(同県宜野湾市)撤去の民意を生かす政党・議員か、民意を無視する政党・議員かの選択が大きく問われます。自民党県連は公約で新基地建設「容認」を発表し、これまでも同党現職・新人予定候補らは推進する言動を繰り返してきました。
県議選の島尻・南城市区(定数4)は、6人が立候補予定の大激戦地域。自民党は現職に加え、日本共産党の現職、たまき武光予定候補の地元・八重瀬町から新人女性予定候補を立てるという「共産党追い落としシフト」を仕掛けてきています。
同女性予定候補は八重瀬町議として同新基地建設促進の意見書の提案者。意見書は町議会で昨年6月に賛成多数で可決されました。
同年2月に新基地建設の賛否を問う県民投票で約72%が反対(同町では約75%が反対)の民意が示されたばかりの当時、意見書可決について町民からは「暴挙だ」などの怒りの声が上がりました。
同区の自民党現職も2018年2月の県議会で、新基地建設容認は「選択肢であり民意だ」と主張しました。
たまき予定候補は23日の街頭演説で「県民の民意や声を聞かない自民党に、県議選で大きな審判を下しましょう」と訴え、新基地反対の公約をぶれずに貫く玉城デニー知事を支える日本共産党など「オール沖縄」勢力の安定過半数確保に「お力を貸してください」と呼びかけました。
日米両政府が沖縄県宜野湾市の米軍普天間基地の「移設」だとして推進する名護市辺野古の新基地建設をめぐり、そもそも2013年1月、普天間基地の閉鎖・撤去、「県内移設(新基地建設)」断念などを求めて県議会議長や県内全市町村長・議会議長らが署名した、県民総意としての「建白書」を安倍政権に提出しました。
しかし同年11月、当時の沖縄県選出の自民党の衆参5議員が安倍政権に屈し、公約としていた普天間基地の「県外移設」から新基地建設容認の立場に転じました。同年12月1日に自民党県連としても容認を決定しました。
これらが、同月27日に仲井真弘多知事(当時)が県民の民意を裏切って新基地建設の埋め立てを承認することにつながりました。
自民党県連や仲井真氏の裏切りに遭っても県民は、14年、18年の2度の知事選や、これまでの県内の国政選挙などで、保守・革新の垣根を越えた新基地反対の「オール沖縄」勢力の勝利という形で、強固な民意を繰り返し示してきました。
それにもかかわらず自民党県議らは民意に応えようとはせず、新基地建設強行の安倍政権に呼応し、県民の間に分断を持ち込もうとしています。
県議選糸満市区の自民党現職は、新基地建設容認を「落としどころとして考えて」(19年12月)と、県議会の場で繰り返し発言。沖縄市区の同党現職も県議会で「辺野古移設に向けた工事を早期完成させるべきではないか」(19年6月)と訴えました。
豊見城市区の現職・自民党県連幹事長は沖縄地元紙のインタビュー(今月13日付)で「実現可能性があるのは辺野古移設のみだ」と、改めて新基地建設容認を明言しました。
沖縄市区で必勝に向けて猛奮闘する日本共産党の新人、しまぶく恵祐予定候補は22日の市内での街頭演説で「新基地建設に掛かるといわれている2兆5500億円の税金は、コロナ対策や暮らしのために使ってほしいではありませんか。県民の民意に背く自民党予定候補を、県議会に絶対に送るわけにはいきません」と力を込めました。
新基地建設の自民党沖縄県連などの姿勢と県民の民意に関する主な出来事
2013年
1月28日
沖縄県民の総意として新基地建設断念などを求める「建白書」を安倍政権に提出
11月25日
沖縄県選出の自民党の衆参5議員が新基地建設容認に転換
12月1日
自民党県連としても新基地建設容認に転じる
27日
当時の仲井真弘多知事が県民の民意を裏切り、新基地建設の埋め立てを承認
2014年
11月16日
知事選で仲井真氏を打ち負かし、新基地反対の「オール沖縄」の翁長雄志知事が誕生
12月14日
解散・総選挙の沖縄の四つの小選挙区全てでオール沖縄の候補が勝利
2017年
4月8日
自民党県連大会で、引き続き新基地建設容認を決定
2018年
9月30日
知事選で、急逝した翁長氏の遺志を引き継ぐオール沖縄の玉城デニー現知事が勝利
2019年
2月24日
新基地建設の賛否を問う県民投票で約72%が反対との明確な民意が示される
2020年
1月7日
自民党県連最高顧問の仲井真元知事が集いで、新基地建設を「推進していこう」と発言
4月21日
新型コロナウイルス危機の真っただ中に、安倍政権が新基地建設の設計変更を県に申請
5月8日
自民党県連が県議選公約として新基地建設容認を発表