政府は25日、新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長・安倍首相)を開き、東京、神奈川、埼玉、千葉、北海道の5都道県で続いていた緊急事態宣言について、月末の期限を待たずに全面的に解除すると決定しました。宣言は4月7日に発令され、完全に解除されるのは約50日ぶりです。
首相官邸で記者会見した安倍晋三首相は、「全国で新規の感染者は50人を下回り、入院患者も2000人を切った」とした上で、「世界的にも極めて厳しいレベルで定めた解除基準を、全国的にクリアしたと判断した」と述べました。
安倍首相は「この100年に1度の危機から日本経済を守る」として、第2次補正予算を27日に決定する意向を表明。雇用調整助成金を「世界で最も手厚いレベル」の1万5000円まで特例的に引き上げるとしました。野党も引き上げを強く求めていました。
一方で首相は、感染者の増加が再度加速する「最悪の場合」には、「2度目の緊急事態宣言発出の可能性もある」と述べました。
記者から北海道と神奈川県は政府の解除の基準を下回っていないのに、短期間で全面解除した理由を問われた安倍首相は「専門家に諮問した結果、解除すべきと答申をいただいた」と説明。「解除をもってウイルスがゼロになったわけではない」として、「コロナ時代の新たな日常をつくり上げていかなければならない」と繰り返しました。
政府は対策本部で、基本的対処方針を改定。宣言解除後もおおむね3週間ごとに感染状況を評価しながら、外出自粛、イベント自粛、休業などの要請を段階的に緩和していくことなどを明記しました。
対策本部に先立って感染症学者や経済学者らで構成する基本的対処方針等諮問委員会が解除方針を了承。その後、西村康稔経済再生担当相が衆参両院の議院運営委員会で全面解除を事前報告しました。