日本共産党の志位和夫委員長は28日、国会内で記者会見し、「香港への『国家安全法』導入に強く抗議する」と題する談話を発表しました。志位氏は「この(談話の)立場を中国政府に対しても伝えていきたい」と表明しました。談話の全文は次の通りです。
一、中国の全国人民代表大会は、本日、「国家安全法制と執行機関の設立に関する決定案」を採択した。これは、中国本土で施行されている政府にたいする「反逆、分離、扇動、転覆」を禁止する「国家安全法」を、香港特別行政区政府を介さず、香港に直接導入して人権抑圧を強化する試みであり、中国の国際公約である「一国二制度」を有名無実化するものである。コロナ禍のもと、市民が抗議しづらい状況下でこの決定が行われたことも重大である。
日本共産党は、中国政府によるこの決定に強く抗議する。香港への人権抑圧強化の動きをただちに中止することを強く求める。
一、中国政府は、昨年以来抗議活動が続く香港について「外国勢力も違法に干渉し中国の国家の安全に重大な危害を加えている」(王毅〈おう・き〉外相)と、香港での新しい法制と執行機関が必要と強調している。
香港当局は、コロナ禍の制約下で「国家安全法」導入に抗議している大勢の香港市民にたいして、「暴徒」「テロ勢力」と非難している。
中国政府は法の適用対象は「ごく少数」と強弁しているが、市民の抗議行動が法執行の対象となることは明らかである。
一、中国政府は、香港問題は「中国の内政でありいかなる干渉も許さない」と主張している。しかし、各国は条約あるいは慣習国際法によって広範な人権尊重の義務を負っており、現代の国際社会では人権侵害はもはや単なる国内問題ではなく、重大な国際問題である。
中国政府自身、「一国二制度」の下での香港の「高度な自治」を認め、言論、集会、結社などの権利・自由を保障すると国際的に約束してきた。また、世界人権宣言、国際人権規約、ウィーン宣言などに署名、支持してきた。
日本共産党は、中国政府が、「一国二制度」という香港に関する国際公約を守り、国際的な人権保障の取り決めを真剣に履行するよう強く求める。