【北京=釘丸晶】中国で民主化を求める学生や市民が武力弾圧された天安門事件から31年となった4日、香港島中心部のビクトリア公園に市民が集まり、犠牲者を追悼しました。新型コロナウイルスの感染防止を理由に警察が集会の申請を不許可とし、先月28日に全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で反政府活動を禁止する「国家安全法」の香港への整備が決定するなど中国からの圧力が最大限に強まるなか、約1万人の市民が会場に集まり、ろうそくを手に犠牲者に黙とうしました。
追悼集会は民主派団体「香港市民愛国民主運動支援連合会」(支連会)が事件翌年の1990年から毎年、主催していましたが、警察は感染対策として9人以上の集会を禁止した「集会制限令」を理由に初めて申請を却下。支連会は大規模集会を取りやめ、幹部8人が公園で追悼する模様をインターネットでライブ配信し、多くの市民が自発的に公園に集まりました。
香港メディアによると支連会の李卓人主席は集会後、「警察が感染対策を口実に集会に反対したのは国家安全法実施の予行演習だ」と批判。「来年も支連会は公園でろうそくの光をともすだろう。あきらめなければ光は消えない。来年6月4日にまた会いましょう」と市民に呼びかけました。
同地のほか、香港各地80カ所以上で追悼の催しが行われ、多くの市民が参加。昨年からの反政府運動のスローガン「光復香港、時代革命(香港を取り戻そう、われわれの時代の革命だ)」を叫び、「香港に栄光あれ」を歌いました。
香港島の西営盤の活動に参加した男子高校生は、香港のメディア「端伝媒」に「全人代で香港版国家安全法の決定が可決し、今日は香港立法会(議会)で国歌条例が可決され、集会参加を決めた。強権の圧力に対して香港の若者が頑張っていることを世界に示したい」と語りました。