日本共産党の山添拓、武田良介両議員は12日の参院予算委員会で、新型コロナウイルスで苦しむ医療、学生、文化、観光の各分野への支援・拡充を求めるとともに、第1次補正予算に盛り込まれた支援事業が広告大手・電通などに“食い物”にされている疑惑についてただしました。
コロナ予算を“食い物”に
山添氏は、持続化給付金の支給業務を受託した一般社団法人サービスデザイン推進協議会が大半の業務を電通に丸投げしていた問題を追及。「赤旗」日曜版14日号のスクープに言及しつつ同協議会の平川健司・業務執行理事(元電通社員)と中小企業庁の前田泰宏長官との関係が2009年の家電エコポイント事業から始まっていたのではないかと告発しました。当時、電通側の中心にいたのが平川氏で、経産省側の担当が前田氏とみられます。
山添氏が「平川氏と面識はあったのか」とただすと、前田氏は、平川氏を「知り合い」と認めながら、「その当時は面識がなかったと思う」などと、しどろもどろでした。
山添氏は、前田氏が講演でエコポイントのシステムは米国企業セールスフォース・ドットコムのサービスだと紹介していることをあげ、「前田長官が同社を電通に紹介したのではないか」と追及。前田氏は「記憶にない」と連発しました。
さらに、山添氏は、前田氏が責任者の部局から同協議会が事業を次々と受注したことをあげ、「癒着だと言われても仕方ない」と指摘。背景に政府・自民党と電通の癒着がうかがわれるとして、安倍晋三首相の妻の昭恵氏がかつて電通社員で、電通が安倍首相の選挙区支部、自民党の政治資金団体に献金していることを明らかにしました。
首相は「私の政治活動に支援してもらっている」などと答弁。山添氏は、政府が電通へ莫大(ばくだい)な政府広報費も支払っているとして、徹底解明を求めました。
武田氏は、補正予算に盛り込まれた観光支援事業「Go Toキャンペーン」の事務委託費3095億円も電通に丸投げしようとしていた疑惑を追及。政府が公募前に電通から約10回ものヒアリングをしていたことを明らかにして「当初から電通への委託を念頭に置いていたのではないか」とただしました。
安倍首相は「事業ごとに最適な執行体制を構築する」というだけ。武田氏は、持続化給付金の委託が大問題になったため公募見直しを余儀なくされたと指摘。「仕切り直しで事務委託費を減らすことはできるのか」とただしました。梶山弘志経済産業相は「結果を見なければ何ともいえない」と述べるにとどまりました。
武田氏は「事務委託費を減らすことが(仕切り直しの)目的ではない」と指摘。「国民の疑念は晴れない」と批判しました。