太平洋戦争末期の悲惨な地上戦で20万人を超える尊い命が失われた沖縄戦から今年で75年―。「慰霊の日」の23日、沖縄県糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で県主催の「沖縄全戦没者追悼式」が開かれ、参加者らは基地のない沖縄と平和を求める強い思いを新たにしました。
今年は新型コロナウイルス感染症対策として、式典の規模を例年の5千人から大幅に縮小し、161人の参加となりました。
平和宣言で玉城デニー知事は、安倍政権が県民の民意に背いて米軍新基地建設を強行する同県名護市辺野古の海を含む沖縄の自然は、「ウチナーンチュ(沖縄の人々)のかけがえのない財産だ」と強調。新基地を造らせないで豊かな自然を後世に残していく立場を改めて示しました。
「沖縄戦で得た教訓を正しく次世代に伝え、平和を希求する『沖縄のこころ・チムグクル』を世界に発信し、共有すること」を呼びかけ、「今こそ全人類の英知を結集して、核兵器の廃絶、戦争の放棄、恒久平和の確立のため総力を挙げてまい進しなければならない」と訴えました。
75年の節目として、松井一実広島市長と田上富久長崎市長、中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表がビデオメッセージで、連帯の言葉を寄せました。
安倍晋三首相もビデオメッセージ。沖縄の米軍基地の集中と大きな負担は「到底是認できるものではない」としながら、同新基地建設や米軍普天間基地(同県宜野湾市)の危険性除去・返還には言及しませんでした。
県立首里高校3年の高良朱香音(たからあかね)さん(17)が「平和の詩」を朗読しました。
日本共産党の赤嶺政賢衆院議員や党県議らも参列しました。