【北京=釘丸晶】香港警察は10日夕から夜にかけて、若者政党「香港衆志」元メンバーの周庭氏と、国外に香港の実情を伝えていた活動家の李宇軒氏、若手民主活動家の李宗澤氏の3人を国家安全維持法(国安法)違反の疑いで逮捕しました。
同日午前には、中国政府への批判的論調で知られる民主派寄りの香港紙「リンゴ日報」創刊者の黎智英(れい・ちえい)氏ら関係者7人も国安法違反で逮捕。1日で計10人を逮捕しました。
李宇軒氏は昨年11月に民主派が圧勝した区議会選挙で、民間団体「香港故事」のメンバーとして国際的な選挙監視団の招聘(しょうへい)に奔走。昨年12月に来日した際、日本共産党の井上哲士、山添拓両参院議員とも懇談しました。香港メディアによると、李氏はマネーロンダリングと外国勢力と結託した容疑が持たれているといいます。
周庭氏は2014年の民主化をめざした「雨傘運動」に、学生団体「学民思潮」の広報担当として参加。その後、黄之鋒(こう・しほう)氏らと共に、香港の自決権を主張する政党「香港衆志」を結成し活動してきました。たびたび来日し、香港の状況を紹介していました。
10日夜、周氏の代理人が本人のフェイスブックを更新し、「十数人の警官が周氏の家に押し入り、外国勢力との結託の罪で逮捕した」と発表しました。
黄氏はフェイスブックで周氏らの逮捕に抗議。日本でも多くの人がSNSで周氏らの解放を求めています。◇
日本共産党は昨年11月、志位和夫委員長の「香港での弾圧の即時中止を求める」声明を発表し、中国政府に伝えるなど、香港での人権弾圧の即時中止を求めてきました。また、弾圧の根拠とされた国安法も徹底的に批判し、撤回を強く求めてきました。