日本共産党の志位和夫委員長は20日、国会内で記者会見し、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、重症者数が増えていることへの懸念を表明し、PCR等検査の抜本的拡充と、医療機関の減収補填(ほてん)という二つの課題で、政府がイニシアチブを発揮するよう求めると表明しました。
自治体まかせでなく、政府主導で検査の抜本的拡充を
PCR等検査の抜本的拡充について、志位氏は、7月28日に安倍晋三首相に緊急申し入れを行い、感染震源地(エピセンター)の徹底検査などを緊急に求めたことに言及。
その後、「前向きの流れが起きている」として、7月30日に、東京都医師会が記者会見し、感染震源地・エピセンターへの徹底検査を求め、8月5日には、日本医師会COVID―19有識者会議が緊急提言を行い、無症状の感染者も含めた検査体制の確立が必要だと提唱したことに注目していると述べました。
自治体でも取り組みが始まっていると指摘。東京都世田谷区では、医療・介護などの関係者に対する社会的検査をすすめ、「誰でも、いつでも、何度でも」を目標にした検査体制をめざし、千代田区では、区内の介護施設の全職員にPCR検査を行うとしていると述べました。
また8月18日には、超党派「医師国会議員の会」が政府に行った要請に、「感染震源地への集中的検査」が明記されたことは重要だと強調しました。
このもとで厚労省が8月7日に出した事務連絡で「自治体の判断により、現に感染が発生した店舗等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することが可能であるため、積極的に検討いただきたい」としたことに触れ、「地域の関係者を幅広く、つまり『面』で検査することを事務連絡で認めたことは一歩前進です。政府も、わが党の緊急申し入れの立場を否定することができず、認めざるを得なくなったというのがいまの到達点です」と語りました。
同時に、事務連絡が「自治体の判断」と述べるなど、政府の姿勢が自治体まかせになっていることは大きな問題だと指摘。「政府が自ら主導して検査の抜本的拡大で感染拡大を抑止するという姿勢が見えてこない。これでは事態が打開できない」と述べました。
志位氏は、「感染震源地は、その地域だけの問題ではなく、感染震源地から全国に感染が拡大していくという全国の問題です」と強調。「政府が、感染震源地への徹底検査、社会的検査について、自治体まかせにせず、それを推進するイニシアチブを発揮することを強く求めたい」と表明しました。
「検査によって抑え込む」という立場にしっかり立て
徹底検査をすすめる考え方として、「検査によって感染拡大を抑え込む」立場に立つ必要があると強調。米ニューヨーク州での感染者数と検査数の推移をグラフで示し、3~4月にかけて感染が急速に広がり大きな犠牲が出たが、その後、検査を大きく増やし、現在、陽性率を0・9%にまで抑え込んでいると指摘し、「重要なことは、感染者の数が減った時期も、検査の数は増やし続けていったことです」と述べ、英国でも、無症状者にも検査対象を広げて抑え込み、陽性率は直近で0・4%に抑えていると語りました。「こうした海外の経験にも学び、『検査によって抑え込む』という立場にしっかり立つ必要があります」と強調しました。
4分の1超の病院が夏季賞与を減額――ただちに減収補填を
医療機関の減収補填について、志位氏は、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3団体が6日に行った、4~6月期の経営状況の調査(期間は7月13日~8月3日)の報告で、「コロナ感染患者の入院を受け入れた病院などでは、6月も10%を超える大幅な赤字が継続し、診療報酬引き上げが行われたものの、経営状況の悪化に歯止めはかからなかった」「コロナ患者を受け入れていない病院でも対前年で経営状況が悪化」「4分の1を超える病院が夏季賞与を減額支給せざるを得ない」としていることを紹介。
「6月で見て、1病院あたりの赤字額は平均5951万円。利益率もマイナス12・1%で、4、5月に比べて悪化している」と語りました。
志位氏は、「こういう状況に医療機関を置いておいて、どうして『病床を確保してくれ』といえるか」と批判し、「ただちに国費を投入して減収補填を行うことを強く求めます」と述べました。
その上で志位氏は、「諸課題が山積です。野党は臨時国会の召集を憲法にもとづいて求めていますが、臨時国会を一日も早く開催することを重ねて求めたい」と語りました。