道路・ライフライン遮断 復旧早く
「娘の友人の祖母の行方が…」
大きな被害を出した静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区の土石流。発生から二夜が過ぎた5日も依然、80人の所在が確認できないままで、現地では捜索活動が続きます。ホテルに避難した被災者らは、今も行方の分からない知人を気遣います。(武田祐一)
市内の「熱海ニューフジヤホテル」には伊豆山地区の住民500人ほどが避難しています。ロビーでは市職員が避難者の対応に追われていました。長机にはペットボトルの水や飲み物、生活用品、衣類などが並んでいました。
「次女の友達の祖母がいまだに行方不明。心配です」
女性(49)が顔を曇らせました。
自宅は、テレビやツイッターで流れた動画で中心に映っていた赤い建物の付近。被害状況をよく確認できないままだといいます。
3日の土石流発生時は高校2年の次女一人が在宅で、家族は仕事などで別の場所にいました。次女は近所の人と避難した後、父親と合流。女性が次女と再会できたのは4日夜、このホテルででした。「ほっとしました」と話します。
同地区の七つの町内会の連合会長を務める當摩(とうま)達夫さん(74)は「まだ土砂崩壊の危険があるので自宅付近に入れない。今日の午前中、ようやく少し離れた所から被害状況を見ることができた」と話します。
地区の東西を結ぶ主要な道路2本が土石流で遮られたため、分断されて行き来ができない状態が続きます。
早急に解決してほしいことを聞くと「陸の孤島で、高齢者は病院にも通えない。道路とライフラインを早急に復旧してほしい。それから、流された住まいをいつまでにどうするかということだ」。
日本共産党の小坂幸枝熱海市議は同ホテルで住民の安否確認と、要望の聞き取りをしました。ある男性は、白壁の自宅が半分ほど泥に埋まっている様子をテレビで確認したといいます。
この男性は「ホテルの方が避難所よりずっと過ごしやすいが、これから先どうなるのか」と不安そうだったといいます。