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命と人権が危ない

感染拡大のなか 五輪強行

開催都市東京で感染が過去最悪ペースで拡大する状況のもと、東京オリンピック大会の開幕が23日、強行されました。新型コロナウイルス感染症拡大で医療体制が逼迫(ひっぱく)し、ワクチン接種も遅れる中、中止・延期を求める多くの国民の声を無視した開催強行に、全国各地で怒りの声が上がるとともに、五輪中止を求める運動が湧き起こっています。

写真)開会式が行われた国立競技場=23日

東京では23日、コロナの新規陽性者数は、1359人で前週金曜日よりも88人増で、1週間平均でも対前週比で146・5%と増加が続き、第3波ピークの2520人(1月7日時点)を大きく上回る可能性が強く懸念されています。23日発表された陽性率も12・2%にはね上がりました。全国では22日に、5月22日以来初めて5000人を超える5397人が確認されるなど、深刻な状況です。

 菅義偉首相や東京五輪・パラリンピック組織委が記者会見などさまざまな場で繰り返し発言してきた「安全安心な五輪」も完全に破綻しています。組織委は23日、選手3人を含む大会関係者19人の感染が新たに確認されたと発表。陽性となった大会関係者は、累計で106人となりました。内閣官房公表分を含めると123人にのぼります。コロナ感染によって、出場機会を失う選手が続出するなど競技にも影響し始めています。

 また、ウイルスの潜伏期間などによって、大会期間中に陽性が確認されなかった選手や大会関係者が、世界にウイルスを拡散させる可能性があると国内外の専門家たちは指摘します。

 日本共産党の志位和夫委員長は開会同日、ツイッターで「東京五輪の現状は、単に『五輪憲章』に反しているだけではない。日本と世界の人々の命と健康に対する重大な脅威をもたらしているという点において、基本的人権と人間の尊厳をうたった国連憲章及び、人権保障の国際条約・取り決めにも反している」と訴え、「五輪をやめて命をまもれ」と強調しました。

 新型コロナの影響で史上初めて1年延期された東京五輪ですが、森喜朗組織委前会長の女性差別発言による辞任をはじめ、女性タレントを誹謗(ひぼう)する企画を提案した佐々木宏氏、障害者への暴行問題が発覚した小山田圭吾氏、ホロコーストを揶揄(やゆ)するコントが指摘された小林賢太郎氏など、大会関係者の辞任が相次ぎました。五輪憲章がうたう差別禁止と人権を踏みにじる姿勢があらわになり、組織委は主催者としての資格そのものが問われる事態となりました。大会には200以上の国・地域などから約1万1000人の選手が参加。8月8日までの17日間、史上最多となる33競技・339種目を予定しています。

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