戦闘機輸出を視野
自公「論点整理」 市民らが抗議
自民、公明両党は5日、武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針見直しに関する実務者協議を開き、殺傷兵器の輸出を容認する「論点整理」をまとめた報告書を両党の政調会長に提出しました。自民の小野寺五典座長は、会見で「一定の議論ができた中で政府に論点を提示した上で、政府の考えを聞き最終的な詰めをすることが必要だ」と述べました。最終的な結論は秋以降となる見通しです。
報告書では、次期戦闘機を念頭に置いた国際共同開発・生産の完成品・部品・技術の輸出について「我が国から第三国にも直接移転できるようにする方向で議論すべき」という意見が大宗(たいそう)を占めたと明記しました。会合に参加していた自民党議員は、国際共同開発によって次期戦闘機などが第三国へ輸出可能となれば、なし崩し的に武器輸出が可能となる範囲が広がるとの見解を示します。
殺傷兵器に関しては、現行の三原則でも「掃海」などの5類型に該当する場合は、輸出可能との認識で「意見の一致があった」と記載。また、「防衛装備移転」は紛争抑止のための予防措置としての意義もあるとして、外交政策を展開していく「手段の一つとしても有効で、推進すべき」などの趣旨を三原則の前文に盛り込むべきとの意見があったことも記しています。
同日、国会前では武器輸出拡大の動きへの抗議行動が行われました。「武器取引反対ネットワーク(NAJAT)」の杉原浩司さんは、「報告書は両論併記されている部分もあるが、基本的な方向性は殺傷兵器輸出の制約をことごとく外すものだ」と批判しました。
日本共産党の山添拓参院議員も緊急集会に駆けつけ、「なし崩しに武器輸出国家へと進もうとしているのが現状だ。これを進めたら日本が国際紛争を助長する側に回ってしまう。平和国家どころかまさに『死の商人国家』への堕落だ」と訴えました。